はじめに
起業すると決意したときに、活動の仕方には大きく2つの道がある。1つは勤めている会社などをやめて、起業活動に専念する道。もう1つは、会社に勤めながら起業するいわゆる週末起業の道だ。fwywd の1期生には両方のパターンで挑戦している人がいて、私は週末起業で挑戦しているパターンだ。
本記事を執筆している 2022年6月末で、fwywd に参加して半年になる。
(プログラムのスタートは4月からだが、1~3月は事前期間として活動した)
これだけの期間が経つと、週末起業として活動することで感じられるメリットとデメリットがわかってきた。
この記事ではそのメリット・デメリットを紹介しつつ、デメリットに対し、どのような対策をしているかを記載していく。fwywd への参加を検討している人や、 fwywd に限らず週末起業をしようとしている人はぜひ参考にしてほしい。
対象の読者
- fwywd の2期生への応募を検討している方
- 週末起業に挑戦しようとしている方
メリット
金銭的な余裕があるため、心理的安全性が高い
真っ先に思いつくのはこれだろう。本業での収入で最低限の生活は保障されているため安心感はある。
焦って変な詐欺まがいの話に飛びつくこともないし、アイディアやビジネスプランをじっくり練る余裕が生まれる。ビジネスを始めるにあたって予想以上に資金が必要になったときも勤めている会社の稼ぎで補填するということもできる。
こうして書いてみるといいことばかりのように聞こえるが、この「安心感」は表裏一体でデメリットにもなるので注意が必要だ。(詳細は後述)
本業を通して社会的なつながりを持っている
本業として社会と何かしらのつながりを持っていることは地味に大きなメリットだ。
fwywd には前述の通り、勤めていた会社をやめて起業活動に専念しているメンバーもいる。その活動を見ていると、この点はメリットであると強く感じる。
もう少し具体的に見ていこう。
ビジネス初期は、自分のビジネスアイディアを他人に話す機会をたくさんもった方がよい。自分だけで考えたアイディアは固定観念に囚われがちだし、第三者視点でのアドバイスはアイディアの幅を広めるからだ。そういう意味で、仕事の同僚などは非常にいい壁打ちの相手になる。同僚だとビジネス感覚もある程度推し量れるし、「友達」ではないので、アイディアをフラットにみてくれるだろう。場合によっては上司や先輩など自分よりビジネスセンスがある人からも意見を貰える。実感しづらいかもしれないが、そういった人と気軽に話せるコミュニティを見つけるのは意外と難しいのだ。
また、自分が考えているビジネスアイディアが勤めている会社のビジネスと関連する人もいるだろう。この場合、同僚が単なるアイディアの壁打ち相手に留まらず、潜在顧客にもなり得る。ユーザインタビューとして気軽に意見を聞くこともできるので、やはり大きなメリットになるはずだ。
本業に対する取り組み方、見方が変わる
自分でビジネスを作る活動をしていると本業の見方が大きく変わる。
今の会社はどういう風に収益を上げているのか、経営陣は何を考えてどんな意思決定をしているのかなど、いわゆる「経営者目線」を徐々に持てるようになる。(経営者目線の練度はあるが、その点はここでは言及しない。)こんなにも身近に勉強になる材料が溢れていたのかと改めて目を輝かせる。同じ会社のはずなのに本当に不思議だ。
考えてみればみるほど自分の勤めている会社って実はすごいことをしているのでは、という気持ちも出てくる。社員に対して給与を毎月支払い、有給の申請をすれば休暇が取れる。会社によってはその他にも多種多様な福利厚生を用意しているところもあるだろう。とんでもないことである。1円の売上を作ることですら苦労している今の自分からすればそんな会社を作るのは夢のまた夢のようだ。
時間の使い方を考えるようになる
本業でかなりの時間を割かれるため、時間の使い方を高確率で改めることになる。
おそらく fwywd メンバーの多くの人は、生活リズムを見直したはずだ。具体的には娯楽の時間を減らし、やらないことを定めて、家族と様々な交渉をしているだろう。当然私もその1人だ。
やらないことを決める例を1つ上げよう。私の場合は、妻と話して自炊の時間をほとんど0にした。(余談だが妻と私は料理がそこまで得意ではない。)冷凍でお弁当が届くサブスクを契約して今のところはうまくいっている。このように家事を外注するという発想は人によっては効果絶大なのでぜひ試してほしい。
デメリット
現状に甘えてもいいのではという誘惑が常にある
上述した「金銭的な余裕がある」の裏の部分がこれにあたる。必死になりにくい、と言い換えてもいいだろう。
実際、会社をやめて fwywd に参加したメンバーの日々の活動は鬼気迫るものがある。一方で週末起業組はどうしても心に油断が生じるため、より強く自分を律する必要がある。
自分の場合、具体的には以下のような対策を実施した。
【対策】
- 会社をやめたメンバーの活動を Slack や Twitter で見る。(個人的には1番効果的だった)
- 原体験や最終目標を壁など見えるところに貼り、24時間常に自分で自分を鼓舞し続ける。
- 誰かに自分の活動を宣言して、定期的に報告する
ところでパーキンソンの法則というものをご存じだろうか。
同じ仕事の内容でも、1週間の期限を切られると1週間で終わらせ、1か月の期限を切られると1か月で終わらせる、という人間の甘えを捉えた法則だ。
起業活動でもこの法則が当てはまるのか非常に興味深い。答えは2023年3月にわかるだろう。
やっぱり時間がない
パーキンソンの法則はさておき、タスクが無限に出てくるため本当に時間がないのも事実だ。生活リズムを見直すのがメリットであると述べたが、見直さざるを得ないのだ。
これに対する対策としては以下がある。
【対策】
- お金の力で家事などの手間を減らす。
- 移動時間や隙間時間をうまく使う。(電車の移動なら本を読めるし、車の運転ならオーディオブックが使える)
- 寝る前の30分を使うなど習慣化してしまう。
- 職場に自分の活動をオープンにして、本業のボリュームを抑えてもらう。
特筆すべきは4つ目の職場に自分の活動をオープンにして調整してもらう、という対策だろう。人によっては抵抗があるだろうし、そんなの聞いてもらえないのではないかと考える人もいるはずだ。しかし、本当に時間を作りたいのであればこれは特段不思議な行為ではない。
自分の熱意を伝えて、周囲にアクションを求めるのは起業家としては基本中の基本であると fwywd では教わる。これもその教えに従うのであれば、至極当然な行為と言える。また、多少楽観的な言い方にはなるが、意外と応援してくれる人もいるものだ。ダメ元で相談してみてはいかがだろうか。
仕事をやめたくなる、本業に身が入らなくなる
起業活動は今の自分が1番やりたいことをやっているはずなので、本業よりも楽しいと感じることが多い。本業に何か強い不満を感じている人は、なおこのギャップで苦しむこととなる。その結果、本業に身が入らなくなる。本業で得られるメリットを天秤にかけながら、やめるかどうかを悶々と悩み続けるのだ。
この対策は難しいが以下が挙げられる。
【対策】
- 会社に勤める期限を決める。
- 定時までは会社の時間と割り切る。(周囲にも協力してもらう)
やはり、自分の中で納得感をもって決断するしかない。
「今年いっぱい会社でやめるからそれまでは頑張ろう」という整理の仕方もあるだろう。前項の対策であげた「職場に自分の活動をオープンにして、本業のボリュームを抑えてもらう」というのもこの対策になる。会社側や周囲の人間に理解をしてもらえたならば、そこで決めた線までしっかりとプロとしてコミットしよう。
まとめ
この記事では、会社に勤めながら起業活動をすることのメリット・デメリットをまとめてみた。
あらためて見ると、心の持ちようと言える問題がとても多いことに気づかされる。起業活動は自分との勝負とも言えるのかもしれない。
筆者について
fwywd 1期生として活動しています。現時点では会社員(システムエンジニア)と平行して活動中です。 学生時代のすべてを捧げた馬術の世界をよりよくするための事業を検討しています。 日々の活動などは以下をご覧ください。 起業に興味がある方、馬術関係者の方などは是非フォローしてください。