多くの起業家が最初に絶望する『集客』という大きな課題

多くの起業家が最初に絶望する『集客』という大きな課題

はじめに

早速ですが、多くの起業家にとって一番最初に訪れる絶望であり、困難とはなんでしょうか。
ビジネスの知識が足りないことでしょうか、それともプロダクトの作り方がわからないことでしょうか。
これらはインターネットで検索すれば、ある程度の指針は見つかります。
一方で、インターネットで調べても、全然進まないことがあります。
認知度が低い中での集客』です。
私が聞いてきた周りの起業家、そして私自身にとって最初に訪れた困難でした。
この記事は、これから起業したいと思っている方、また起業してみたけれども、この問題を抱えてなかなか進んでいないという方に向けて書きました。

起業のストーリー

アイディアを考えよう

それでは、フィクションではありますが、起業して歩んでいくみなさんのストーリーを想像でたどっていきます。
まず、あなたは起業の準備をするにあたって、ビジネスモデルを考えます。
リーンスタートアップ や、今どきなら起業の科学 スタートアップサイエンス のように、優秀な先輩方が体系的にまとめてくださった知識やフレームワークを活用して考えるでしょう。
この点に関しては、自分自身がなぜその事業に取り組むのかと自問自答の日々が続くとは思いますが、やればやるだけ進むという意味で、本当の絶望とは異なります。
本当の絶望とは、やってもやっても進まないことを指します。

アイディアを検証しよう

行動力のある人であれば、考えたアイディアを早速検証するでしょう。
身近な友人や家族、信頼できる大人に話してみて、その反応を試しながら聞きます。
ただし、これでは不十分であることは本人も当然わかっています。
ビジネスアイディアはペルソナとなる人物にヒアリングをする必要があります。
みなさんはこのペルソナとなる人物へのアクセス方法をお持ちでしょうか。
もう一歩踏み込むと、そのペルソナとなる人物に単なるヒアリングだけでなく、望む金額の報酬を支払っていただける方法をお持ちでしょうか。
集客とは望む金額の報酬を支払っていただく顧客を発見することを指します。
当然の話ですが、起業したいと考えるみなさんが、今の能力で明日からこれに取り組まないといけないと思うと、ゾッとしませんか。

これまでの人脈という謎の安心感

今の企業の顧客はあなたの顧客ではない

こんな話をすると、今の会社にいる顧客で繋がりのある人を想像するかもしれません。
しかし、残念なお知らせです。
今の企業の顧客は、あなたの顧客ではありません。
自分の頑張りで顧客との関係性を築いていると錯覚されるかもしれませんが、それは今の企業の信用力が後ろ盾としてあってこそ成立しています。
しかも、現在の企業の顧客をそのまま流そうとすると、それは企業秘密を持ち出すことであり法的に罰則が課されます
Facebook や Twitter のような SNS で個人的に繋がっており、最初の仕事をお願いされるといったことはよくありますが、それは最初の起爆剤程度に考えておいた方が良いでしょう。
自社サービスを長く続けていきたいのであれば、今の企業が抱えている顧客はないものと考えて、一から開拓していく必要があります。

認知度とメンタルヘルスケア

認知されないと何を始めても無駄

『私はこういったサービスを作って世の中を良くしたい』と思う多くの人に伝えたい現実があります。
認知されないと何を始めても無駄』ということです。
辛い現実ではありますが、これはメンタルヘルス(心の健康状態)を健全に保つため、真摯に受け止めておく必要があります。

世の中に否定されているわけではない

自身の人生を賭けて挑戦したいと思ったサービスを世の中に発表した時に、全然集客ができないことがあります。
その時に、以下の数式を知っておく必要があります。
集客できる人数 = 認知度 × コンバージョン率
ここで、コンバージョン率には事業の良し悪しなどが含まれるます。
そして、伝えたい大事な点は認知度が 0 だと集客できないということです。
時間をかけて考え抜いて、自分の人生を賭けようと思ったのに、全然集客ができない。
これは自分の人生が世の中から否定されているのだろうか...。

精神的な負のループに気をつける

このようにネガティブに考えてしまい、精神的に病んでしまう起業家がいます。
私自身も集客がうまく行かないときには、こんな風に考えて、落ち込んでしまうこともあります。
でも、ここはちゃんと割り切った方が良いでしょう。
認知度がない中でサービスを展開しても、集客はできません。
だからこそ、それは世の中に否定されているわけではありません。
もちろん、サービスの方向性が悪い場合もありますが、ここは初めての経験ですので気楽にいきましょう。

情報発信こそサービス提供の始まり

認知度を高める

それでは、集客に大きく影響する認知度を高めるためには何ができるのでしょうか。
すでに持っている技術が尖っている方は講演や本の執筆などで認知度を高めることは容易でしょうが、そうでない場合が多いはずです。
この場合にできることの1つは情報発信です。
自分の考える社会の課題に対して、ビジネスモデルを含めた解決策を提示したり、自身をコンテンツとして情報発信するのです。
いまの時代は note やはてなブログなど、ブログで簡単に情報発信ができるため、誰でもできる再現性のある方法です。

リード顧客の確保

ただし、ここで気をつけておかないといけないのが、単なる情報発信ではなく、サービスを提供する頃にリード顧客となるように情報を集めておく必要があります。
SNS であればフォローという仕組みがあるので、メールアドレスなどを集める必要はなく、比較的手軽です。
さらに踏み込むのであれば、メールアドレスなどの個人情報を取得して、リード顧客として用意しておくことをお勧めします。
弊社でも利用していますが、HubSpot といった CRM ツールを利用すると、その後のリード顧客の獲得からコンバージョンまでの流れなどを比較的簡単に追うことができます。

安定した集客には最低でも3〜6ヶ月は必要

多くの起業初心者が順番を間違えることが、サービスを時間をかけて作り、そのサービスをローンチしてから、集客のために情報発信を行うのです。
実は今回私が企画した起業家育成コースである『fwywd in 淡路』もこのパターンでした。
自分が想像するペルソナとの接点がないため、集客は想像以上に大変ですし、どれだけ頑張ってもサービスのローンチから3〜6ヶ月は集客が安定するまでかかります。
※ 今回の企画は他社との協業という点もあり、プレスリリースを出すまでは機密保持の観点で伏せていました。

サービス提供開始してからでは遅い

しかし、みなさんがこれから手がけるアイディアは機密保持は問題ないはずです。
よく起業初心者に『情報を出したらライバル企業に盗まれるのでは?』と聞かれます。 これは自分のアイディアがずば抜けて優れていると勘違いしているか、自信がないかのどちらかです。
基本的に、情報を出して盗まれるようなアイディアは所詮その程度のものということです。
ずば抜けて儲かるアイディアは大手企業の資本力によって一瞬で真似されて追い越されます。
逆にニッチであれば、アイディアを持っていても行動する人は 100 人に 1 人なので、行動したもの勝ちです。
だからこそ、少しでも有利に事業を進めたいのであれば、サービス提供前から世界観も含めた情報をどんどん公開していき、リード顧客だけでなく、仲間も先に集めてしまうのです。

時間を味方につける

これが今回の記事で最も重要なことです。
時間を味方につける
起業とは時間との戦いであるからこそ、その選択を間違えると成功する確率が著しく下がります。
集客とはビジネスを展開する上で礎となりますが、ここは長期的に仕込むものです。
プロダクトを作る時間と同時並行で情報発信をしていれば...』と後悔する起業家がひとりでも減ることを願います。

おわりに

起業の始まりに最初から認知度の高い人は、そうそう多くありません。
キラキラした経歴出身などの特別枠の人がいることも事実としてありますが、よそはよそ、うちはうち。
素晴らしい世界観に挑戦していただく方が増えている今だからこそ、その世界観が顧客に正しく届くことを願います。
起業を志す人の一助になっていれば幸いです。
今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
株式会社キカガク 代表取締役会長
吉崎 亮介
twitter: @yoshizaki_91