起業を考えたら読みたい一冊『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』

起業を考えたら読みたい一冊『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』

起業のすすめ さよなら、サラリーマン

NewsPicks の創刊編集長であり、現在 PIVOT の創業者として活動している佐々木紀彦さんが手がけた最新の一冊『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』を紹介します。
この本は『起業を検討している人への後押し本』でもある一方で、『起業家としての一歩を歩み始めた人の How To 本』でもあります。
起業のすすめ

起業を検討している人への後押し

サラリーマン化の弊害

この本では起業をキャリアの1つに入れてみてはいかがでしょうか、と提案をしています。
ただし、佐々木さん自身も元々は起業を待ってく考えていなかったところからスタートしていたそうです。
その中で、なぜ起業家という選択をしたのかという点の説明が最初にあり、これが起業を検討している人への後押しになります。
その中で印象に残ったものが、サラリーマン化の弊害です。
日本はサラリーマンを過度に守るシステムを作ってきてしまい、それが結果的に他責主義の社会を生んでいるという話です。
日本のような資本主義社会の発展には自己責任による当事者意識が欠かせません。
その一方で、現在の社会の仕組みはサラリーマンを中心としており、うまく機能しているとは言えません。

資本主義という皮を被った社会主義

日本は資本主義という皮を被った社会主義という言葉が印象に残っています。 最近では政治でも掲げられている『富の再分配』。
教育の機会を富に依らず平等に与える(魚の釣り方を教える)という観点では私も賛成ではありますが、単なる富を分配するだけ(魚を与える)という場合には反対です。
過度に守られる社会システムに慣れてしまい、与えられるのが当たり前だと思った社会では発展に希望はありません。
だからこそ、佐々木さんが警鐘を鳴らすように、起業家という選択肢が重要なのです。
その中で、印象に残っている文章を引用します。
アントレプレナーとは、経済リソースを生産性や実りの低い領域から高いエリアへとシフトさせる人
引用:起業のすすめ さよなら、サラリーマン
今の社会が持つ経済リソースを浪費するのではなく、次の世代がさらに快適に利用できるようにシフトさせていく人材こそが起業家なのです。

起業家としての一歩を歩み始めた人の How To 本

資本政策の落とし穴

起業とは『志』だけでは成立しません。
ビジネスモデルを構築し、実行可能な資本政策を組み、オペレーションに落とし込んでいく日々の繰り返しです。
その中で、個人的に周りの起業家を見ていて弱いと感じるのが資本政策です。
特に上場後を見据えた資本政策に関して考えている人が圧倒的に少ないと感じています。

上場後の姿

著者の佐々木さんは NewsPicks や SPEEDA を運営している Uzabase で上場を間近に経験していらっしゃいます。
そして、私も1社目で入った会社がマザーズ上場直後(現在、東証1部上場)であり、その社長室に配属されていたため、ある程度上場後の雰囲気を知っています。
この本の中で書かれていたことで共感をしたのが、上場をするとすごく短期利益を求められるという話です。
私の印象とも一致しており、四半期(3ヶ月に1回)ごとの株主総会を前に、経営陣はピリッとなります。
極論ではありますが、3ヶ月ごとにわかりやすい結果を出して報告できないと役割を果たしていないと捉えられてしまいます。
中にはサイバーエージェントの藤田さんが打ち出した Abema のような長期的な戦略に対して、株主を押さえ込んでも実行していく胆力をお持ちの方もいらっしゃいますが、経験則としてこれは例外です。

上場前でも似たようなことが起こる

とても共感した一文がありました。
株主の期待に応えるため利益目標を高くしすぎたりすると、斬新な挑戦やスタートアップらしい文化が失われてしまいます。
その塩梅が実に難しいのです。
引用:起業のすすめ さよなら、サラリーマン
これは上場した場合だけに限らず、上場前に株主を入れている場合にも同様の力が働きます。
だからこそ、教育のような社会課題に対する斬新な挑戦をし続けるためには、なるべく株主からの負の力が働かないように資本政策を設計していく必要があります。
もちろん、株主を新しく迎えることで、ビジネスが伸びることもあるため、すべての株主が悪いわけではありません。
渋沢栄一さんが目指した資本主義では、一人では成し遂げられない財力を株式会社では持つことで、社会を大きく動かせるのです。
資本の力を味方に付けることは社会への発展に貢献する意味で必要でありますが、投資家の行動原理が利益以外はないことにも注意が必要なのです。

おわりに

今回紹介した内容はこの書籍のごく一部に過ぎません。
冒頭で紹介した通り、『起業を検討している人への後押し本』でもある一方で、『起業家としての一歩を歩み始めた人の How To 本』でもあります。
最後に、この本を読む方への注意点を紹介します。
この本は実務を具体的に紹介しているため、起業を本格的に検討し始めてわかる内容が多いです。
そのため、『起業って何?』ぐらいの知識量では、佐々木さんが述べたい内容を理解できずに終わります。
まずは起業や資本主義って何?との程度であれば、以下の2冊を最初に読んでみると良いでしょう。
この2冊で起業という志が高まっている状態になったら、次にこの本を読んでみてください。
この書籍やこの記事で起業へ興味を持っていただけますと嬉しいです。
起業への思いが奮い立った方は、ぜひ私と一緒に起業を志しましょう!
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株式会社キカガク 代表取締役会長
吉崎 亮介
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