起業家一年生の「意思決定」やりたいことの見つけ方

起業家一年生の「意思決定」やりたいことの見つけ方

はじめに

「農業の第三者承継を加速する」
これが私の、起業をすることで叶えたい将来のビジョンです。ビジョンをこのように設定するまでに、いくつかの「意思決定」がありました。
今回は、起業一年目にビジネスの世界で何をやっていけばいいのかを探すための思考プロセスについてお話します。「起業したいけれど、やりたいことがわからない!」と、かつての私と同じ思いを抱えている方の心に寄り添うことができれば幸いです!

この記事を読んでほしい方

  • 起業に興味のある方
  • fwywd に参加するか迷っている方
  • やりたいことなんて無いと思っている方
  • 起業したいけれど、何から始めればいいかわからない方

fwywd in 淡路 とは?

株式会社キカガクと株式会社パソナグループが連携し、兵庫県淡路島にて社会課題の解決を目指す起業家を育成するプログラムです。私も含め fwywd の参加者は、キカガクの吉崎会長と共に淡路島に移住し、共同生活を送りながら社会課題の解決につながるビジネスの構築を行っています。(※オンラインでの参加者もいます!)

自分の頭で考えないと意味がない

fwywd に参加してすぐに思い知ったことがあります。それは、ビジネスにおいて誰かが用意してくれた正解など無いのだということです。 fwywd のオーナーである吉崎さんからの次の一言で、そのことを思い知りました。
私は皆さんからの相談に対して、『良いんじゃないですか。自分で決めることが一番ですよ。』と、毎日言うでしょう。
一瞬、硬直しました。「ビジネスについて教えてもらえないのなら、リスクを取って淡路島に来た意味ないじゃん」と。しかし今では、この言葉は起業家に対して最も真摯な対応で、一番大切な心がけであると感じています。
この言葉の真意は、「自分の頭で考えないと意味ないよ」ということです。そこで今回は、自分だけの「やりたいこと」を自分の頭で導き出すための考え方を以下で紹介していきます。

起業家にとっての 5W1H

物事を組み立てる際に、まず 5W1H で考える方は多いのではないかと思います。起業家として、やりたいことについて意思決定する際も、この 5W1H を自分の頭で意思決定する必要があります。

Who

5W1H の中で、1 つだけ確定していることがあります。それは Who です。事業も意思決定も 「自分」がやるということだけは確定しています。

What

残りの what, when, where, why, how を決めていかなければなりませんが、この中で次に決めやすいのは what でしょう。「何をやるか」これはご自身の原体験を深掘りしてみてください。あなたが今まで生きてきた中で「これはなんとかしないとなあ...。」と、そこはかとなく問題意識を感じていた事柄があるはずです。
例えば私の場合、what 以下のようになります。
祖父母が実家のある岩手県花巻市でりんご農園を経営しています。しかし、どちらも年齢が 80 歳を超えており、さらに祖父が癌を患っています。そのため、現在後継者を探しているところですが、私の両親は教員として 30 年以上勤続してきたため、今から農家に転職するというのはあまり現実的ではありません。
この「農業後継者の不足」が私がビジネスを通して解決していきたい課題です。 もちろん私だけではなく fwywd のメンバーもそれぞれ自身の課題を持ち寄り、知恵を寄せ集め、その課題をビジネスという形で解決する術を練り上げている真っ最中です。

Why

次に決めやすいのは why です。「why me」と置き換えてもいいかもしれません。ここでは、なぜ自分がやるのかを明確にします。
why を明確にすることで、プレゼンやビジネスアイディアを話す際に、単なる「情報」ではなく「エピソード」として話すことができます。様々な書籍などでも紹介されていますが、人間の脳は「情報」よりも「エピソード」の方が記憶に残りやすいため、プレゼンの効果を高めることができます。
例えば私の場合、why は以下のようになります。
祖父母のりんご農園ではとても美味しいりんごジュースを生産しています。今まで様々な生産者が作ったジュースを飲んできましたが、祖父母が作ったものが一番だと胸を張って言うことができます。しかし、このまま後継者不足の状態が続き、農園の経営を辞めてしまうとこの技術は失われてしまいます。また、後継者不足の問題は私の祖父母に限ったことではなく、日本全国の生産者に言えることです。そういった方に寄り添い、日本の食文化を守っていきたいと考えたため、マッチングアプリなどの提供を通して農業経営の第三者承継を加速していきたいと考えています。
このように「農業の後継者不足がやばい!」は、誰でにでも言える、誰でも知っていることですが、上記のエピソードは私にしか語ることができません。自分だけのエピソードで相手に伝えられるようにすることが大切です。

When, Where, How

what と why が決まれば、やりたいこと・解決したいことの方向性が見えてくるはずです。
残りの when,where,how は、仮説検証のフェーズです。「いつ」「どこで」「どのように」事業を推進していくのか、条件を変えながら実行して検証する中で事業の精度を上げていくことが重要ではないでしょうか。
私も現在このフェーズにいます。まずは How を掴むために、想定顧客となる方からお話を伺いビジネスモデルを練っている段階です!

ミッション, ビジョン, バリュー

企業が経営方針を定義するためのフレームワークとして、ミッション・ビジョン・バリューの策定が必要だという考え方を MVV といいます。事業を説明する際に、何をしたい人なのかを一言で伝えられたり、起業した目的を見失わないようにするという意味で非常に重要です。
以下で、ミッション・ビジョン・バリューについて、それぞれ簡単に説明し、先ほど深掘りした what と why を活用したミッションとビジョンの例をご紹介します。

ミッション:企業が社会に対して「なすべきこと」

企業・組織が果たすべき使命や存在意義を端的に表す言葉です。なぜこの組織が存在するのか、社会にどのような価値を提供するのかなど、企業・組織が目指す社会について明文化します。ここに共感して仲間が集まってくると言われています。

ビジョン:企業・組織が目指す「あるべき姿」

1〜3 年など、中長期的な目標を端的に表す言葉です。ミッションを実現するために、企業・組織はどのような状況になるべきかを明文化します。ミッションが漠然としているので、それを補う言葉であり、ミッションのサブタイトルのようなイメージです。

バリュー:企業・組織の構成員が具体的に「やるべきこと」

ミッションやビジョンを達成するための具体的な行動基準を表す言葉です。企業・組織の構成員の行動や判断の基準となる価値観を明文化します。
原体験に紐づかないミッションは、話していても全く響かないので、what と why が決まり、やりたいことの方向性が見えてくればミッションとビジョンを格段に決めやすくなります。
例えば私の場合、MVV は以下のようになります。
  • ミッション:日本の食文化を守る
  • ビジョン:農業の第三者承継を加速する
  • バリュー: 未設定(※起業初期はとにかく様々な行動を起こして仮説検証を行いたいので、行動基準となるバリューは設定していません。)

おわりに

いかがだったでしょうか。起業家として最初の意思決定である、「やりたいこと」を決めるのに、こうしたら考えやすいのでは?ということをご紹介しました。
ミッションやビジョン、または私自身に興味を持っていただけたら、ぜひ Twitter のフォローをよろしくお願いします! 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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