はじめに
野原ひろしの足は臭いけど偉大
みなさんはクレヨンしんちゃんに出てくる野原ひろしをご存知でしょうか。野原しんのすけの父親で営業マンとして一家を支えています。その野原ひろしですが、実は「足が臭い」ということで度々いじられています。そのひろしのエピソードで子供の頃に見て忘れられないものがあります。
いつものようにしんのすけが、父ひろしの足は臭いといじります。すると母親のみさえが以下のように言います。
「これはお父さんが毎日お客さんを訪問して汗をかいている証拠。ありがたいのよ。」
父親の偉大さや労働の大変さを伝える良い話ですよね。ただ、大人になってからこの話を振り返ると「リモートという手段があるからだんだんそういった足を使って顧客先を訪ねることはなくなるのかなぁ」とも思っていました。
しかし、今起業活動をしている視点から考えるとこれは完全に間違いでした。
足を使って顧客先を訪問することは非常に価値のある行為で今後もなくなりません。
以降では、上記のように私が確信した理由や、実際に顧客を訪問し感じたこと、これから顧客訪問に行く方へのちょっとしたアドバイスなどを記載していきます。
本記事の対象読者
対象読者は以下のとおりです。
- 起業の経験が浅い初心者起業家の方
- 自分のビジネスアイディアに需要があるか不安になっている方
前提
本題の前に前提と言葉の定義をはっきりさせておきます。
この記事で語る顧客訪問とはいわゆる「訪問販売」とは違い、商品を買ってもらうことが目的ではありません。需要の有無や業界の情報収集などをする「市場調査」が主目的です。
この市場調査はいつ誰が行うかというと新規サービス・ビジネスを立ち上げようとしているときに起業家の方が行うものです。
(本当はもっといろいろなタイミングがありますが、筆者の体験に基づいて記載できるのはここまでです。)
この前提で以降を読み進めて頂けると幸いです。
なぜ足を使った市場調査が必要になるのか
当事者目線を持たないと共感は呼べない
最初になぜ足を使ったリサーチが必要になるのかを、自分の経験を踏まえてお話します。
私は、ある程度ビジネスアイディアが固まってきた段階でその内容を他の人に話してフィードバックをもらいました。
有益なフィードバックをたくさん頂けたのですが、特に刺さったのは学生時代の友人から言われた「当事者としての目線が足りない」という意見でした。
正直に言うと、始めはいまいちピンと来ませんでした。しかし、振り返ってみると自分のプレゼンは耳当たりのよい言葉が並んでいるものの、自分の意見のみの主張でした。肝心の顧客側がどのように感じているのかという視点が不足していたのです。外から偉そうに「こんな問題があってこれをこんな感じで解決できます。これはビジネスになります。」と主張する自分よがりなメッセージだったと言えます。
「実際の顧客はそのサービスやプロダクトを本当に必要と感じているのか、もっと解決して欲しい課題はないのか」、といった要素が欠けていると顧客からの共感は呼べないと学びました。
関連する話として、fwywd オーナーの吉崎さんが配信する
fwywd radio でも、顧客と話をする中で道ができていく様子やその重要性が語られています。この話を聞いて自分の感じたことは間違っていなかったなと確信しました。
当事者目線を持つためのリサーチ
では当事者目線を持つためにはどうすればいいでしょうか。
一番良いのは自分が当事者そのものになることです。食事関連のビジネスなら自分が顧客となって食事をし、旅行関連のビジネスなら自分が旅行をするのが一番です。
一方でそれだけでは効率が悪かったり、完全に自分が当事者になれない領域のビジネスもあったりします。(学生向けのビジネスを考えている人が実際に時を遡り学生に戻ることは不可能です。)そこで重要なのが、顧客の意見を実際に聴くということです。
顧客の意見を聴く際に、リモートでの対応にするか、現地に行って直接お話をするか迷われることもあるはずです。この2つは使い分けが必要でしょう。
起業初期で顧客がいないときや、初対面の方が相手の場合は可能な限り実際に会って話をすることをおすすめします。実感として実際に現地に行くと、それだけで相手は「そこまでの労力をかけてくれるのであれば話を聞いてみようかな」という気持ちになってくれますし、話が広がりやすいです。
一方で、ある程度関係性ができている顧客が相手の場合はリモートでの対応もよいでしょう。
伝えたいのはどんなときも必ず対面で話をしようということではありません。顧客と直接話しする機会を作ると思いも依らぬメリットを享受する可能性があり、その事実を軽んじてはいけないということです。家で悶々と考えて行き詰まっている人は特に実際に顧客と対面で話をしてみることをおすすめします。息抜きでクレヨンしんちゃんを見る機会があればこの話を思い出してください。
以下では実際に顧客訪問することで感じたメリットを具体的に列挙します。
実際に顧客訪問をして感じた3つのメリット
1.説得力が生まれる
一番大きいメリットは自分の言葉に説得力が生まれることです。
顧客から直接仕入れる情報の鮮度はとても高いですし、自分がしていた勘違いなども話をする中で矯正されていきます。結果として、より正確な表現や数字で自分のビジネスを語れるようになり、顧客の声を聞くことで自信を持って話すことができます。
もちろん、このメリットはリモートで対応したときでも言えるのですが、個人の感覚としては対面の方が広く深くいろいろな話をしてくれます。上述したように「ここまで来てくれたからには何か協力しよう」と思っていただけるのが人情ということですね。
2.ファンを作るきっかけになる
自分という存在をその業界に広めるきっかけを作れます。当たり前ですが直接会って話をした人というのは記憶に残りやすいです。自分の人間的魅力で相手を夢中にさせることができれば、その人がファンになってくれる可能性だってあります。そうなると数珠繋がりで他の人を紹介してもらうことができ自然と人脈が形成されていきます。
ビジネスを始めるにあたって影響力を持つことの重要さは fwywd のオーナーである吉崎さんがラジオや fwywd のコミュニティの中で何度も発信しています。
ではその影響力を持つためにはどうすべきか、という問に対しての解の1つが顧客と直接会うということだと私は考えています。
3.想像力やアイディアが磨かれる
顧客と話すうちに思いもよらぬヒントやアイディアが出てくることがあります。これは顧客訪問をすることで、その場所の雰囲気・匂い・音・相手の表情などを感じ取って自然と頭が働く結果だと考えています。話をする中でもっと直接的に「こういうサービスがあるとありがたい」と言及してくれる人もいるでしょう。
また、顧客の解像度があがると自問自答のレベルも飛躍的に上がります。
「こういうサービスはどうだろうか、でも、以前訪問した人はこんなことを言っていたから、ここをもっと改善する必要がある」といった想像力が働くようになるのです。
考えなしで行くのは非効率
ここまで読むと顧客訪問の重要さはわかっていただけたことでしょう。それと同時にお伝えしたいのは考えなしで顧客先へ訪問しても成果は得られないということです。最低限、以下の項目は自分の中で整理した方がよいでしょう。
- 自分が最終的に目指す世界観
- 自分が持っている仮説
- どんなことを質問したいのか(Yes or No で答えられない聞き方の方がよいです)
- もしあれば作ったプロダクトやサービスの HP(完成していなくてもよい)
あとは、相手は何者でもない自分のために時間を割いているということを忘れず、礼儀を持って対応しましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。本記事では、足を使って顧客訪問をすることの意義やそのことで得られるメリットを紹介しました。
地道なことですし、すごく遠回りに感じる人もいるでしょう。しかし、人生の成功の裏には必ず地道な活動があるではないでしょうか。少なくとも私の今までの人生はそうでした。はじめから上手くできたことなど何ひとつとしてなく、地道な活動を継続することで最後に華が開くという経験が何度もありました。
この記事が多くの初心者起業家の支えとなり、1つでも多くのビジネスが前に進むことを祈ります。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
筆者について
fwywd 1 期生として活動しています。現時点では会社員(システムエンジニア)と平行して活動中です。 学生時代のすべてを捧げた馬術の世界をよりよくするための事業を検討しています。 ビジネスアイディアの概要や日々の活動などは以下をご覧ください。 起業に興味がある方、馬術関係者の方などは是非フォローしてください。