ルールは作っただけではだめ。チームに浸透させる鍵は背景の共有

ルールは作っただけではだめ。チームに浸透させる鍵は背景の共有

はじめに

起業のはじめは事業作り
では、その次は何か。
その答えは組織作りです。
組織作りにとってルールは非常に重要な役割を持ちます。
ルールを作ったのに、仲間が思うように動いてくれない。
そんなことにお悩みのあなた。
私も組織づくりにたくさん失敗して今があります。
成功は人それぞれですが、失敗は多く共通しますよ。
経営の大先輩がそう教えてくれました。
そこで、私が通ってきたルール作りの失敗談を紹介します。
みなさんが同じ失敗を繰り返しませんように。

伝言ゲームの成れの果て

知識を少しでも吸収しやすくしたかったのが...

私が創業したキカガクでは社内の制度として「書籍手当」があります。
月1万円分であれば、上司の承認なしで書籍を自由に購入して OK というものです。
この手当には私の過去が影響しています。
大学院の教授は参考書の購入をお願いするといくらでも買ってくれる人でした。
もちろん理由があり、本は実際に読んでみないとわからないし、買ってしまったからという理由に縛られて良くない本に固執するのは良くない。
だから気になる本は言ってもらえばすべて買うし、良くなければ読まなくて良い、と素晴らしく理解のある方でした。
実際、研究をしているとちょっと読んでみたい本が多く、購入に悩む時間をこの制度のおかげで全て知識の吸収に充てることができ、大変感謝しています。
貧乏だった私は、買ってしまった1冊の本に固執しすぎて学びの損切りができていなかったのです。
これを教育の会社だからこそ、自分の会社でも同じような環境を作ってあげたい。
もっと手軽に試行錯誤しやすいように、月1万円までは上司の承認も一切なしで自由に使える方が良い。
そう思って、作ったルールでした。
そんな6年前の自分が作ったルールを最近入社した人にどんな風に伝わっているのかな?と覗いてみると...
マンガでも絵本でも月1万円までは何でも買って OK!書籍手当
なんなんだ...この制度は...。
会社のために新しいことを学ぶときのハードルを少しでも下げるためのルールだったのですが、伝言ゲームの成れの果て
誰が言い始めたのかわかりませんが、姿形が変わって伝わっていっていたのです。
たしかに最近はマンガで学ぶシリーズも多いため、もちろんこれは全然 OK なのですが、当初の役割をほとんど果たさない、社員からしたら、ただのラッキーなルールになっていました。

解決の鍵は「背景」の共有

書籍手当の件はあくまで1例でしたが、ルールというものは決めたときの思いを「背景」として書き残して共有していかないと、伝言ゲームによって劣化していきます。
ルールは作るのは簡単でも運用が難しいと言われています。
この言葉は知ってはいたのですが何が難しいのか、よくわかっていませんでした。
その難しさの1つは「ルールの作り手から受け手が離れていくこと」だと、今回の件で理解しました。
前までは直接対話できる距離にいたから1人1人背景を伝えられていたルールが、いつの間にか伝えられる距離感でなくなり、伝わっていると思っているものが伝わらなくなっている。
ルールの内容だけでなく、そのルールが作られた背景を一緒に書いておくことが大切です。
福利厚生のような良いルールであれば、作り手の思いが伝わり士気が上がります。
逆に、セキュリティ対策のような締めるためのルールもあります。
これも同様で、背景を理解できていないと「○○ しなさい」という締め付けだけ感じてやる気が下がります。
前提としてのリスクなどの背景を理解することで、守らなければやばいという意識が生まれ、自然と主体性を持ってルールに従うでしょう。

おわりに

当たり前のことを当たり前に言っているだけの記事ですが、最終的に整理された成果物(ルール)だけ伝えて、作られた背景は伝えないということによく遭遇します。
これでは今回のように伝言ゲームによって劣化していき、気づいた頃には別物になっていくでしょう。
大切なことなので最後にもう一度。
ルールと一緒に必ず背景も書き残しておきましょう。