はじめに
起業家とは、みなさんどのようなイメージをお持ちでしょうか。起業を検討している方は、どのような人が起業家に向いているのか? を知りたい方が多いのではないでしょうか。
また、起業家と同じように使われる用語として創業者や経営者があります。起業家とはゆくゆくはこのどちらかの道をたどっていきます。著者である私自身も5年前に会社を創業したため、一起業家としての経験を含めて紹介します。
起業家とは
どんなことをする人?
起業家とは問題を解決する仕組みを作る人です。そのため、解決したい課題への当事者意識が必要であることがもちろんのこと、解決したい課題をビジネスへ変換する能力も必要です。
たとえば、場所にとらわれずに学べる環境を提供するために E-learning 型のスクールを立ち上げるといったように、『誰の』『どんな課題を』『どうやって』解決するかといったビジネスアイディアを考え、実現可能な形にできるよう行動をし続けます。
起業家に向き不向きはあるの?
起業家には課題意識と行動力が必要となりますが、起業家の向き不向きは基本的にはないと思っています。その理由として、行動力がない人は世の中に基本的には存在しないためです。行動力がないのではなく、『いま』行動するための動機が弱いだけなのです。そういった意味で『いま起業すべきか?』といった点は検討すべきです。
最近では、週末起業や1円起業といったようにハードルを下げた言い方もありますが、基本的には挑戦にはリスクが伴います。一時的に収入がなくなるといった金銭的リスクはわかりやすいですが、法を犯した場合などの評判リスク、起業しなかった場合のキャリアでの機会損失など挙げればキリがありません。だからこそ、色々なことを天秤にかけた上で判断をしないといけません。
起業家の分かれ道
創業者
創業初期は『起業家 = 創業者』です。起業家も創業者も仕組みを作る人です。社会に存在する課題を見つけ、それをビジネスモデルへ落とし込み、ビジネスの力で解決していく仕組みを作るのです。創業者は英語で Founder であり、プロフィールに Founder や Co-founder(共同創業者)と書いてある場合は、会社を立ち上げるときに一緒に始めた人ということです。
創業者は熱しやすく冷めやすい性格の人が多い印象で、仕組みを作り上げることができると、これからがビジネス的に美味しいときでも、次のことに挑戦したくなってしまう人がいます。仕組みを作ることに美学を感じている一方で、それが他の人の手によってうまく回り始める頃には興味を失っていることがあります。
実は私自身がそのタイプであり、常に最前線で新しい仕組みを作り続けていないと耐えられないのです。こういった性格の方は起業した後は創業者として経営よりも、新しい事業の創出に取り組み続ける方が向いています。
経営者
経営者は仕組みを伸ばす人です。計画性が高く、緻密に行動を管理できる人が向いています。起業家として事業を起こし、そのまま会社の組織を大きくするところまで一緒に成長していく人は経営者として成功しています。
一方で、創業者から経営を引き継ぎ、2代目以降の社長として経営者となるケースも私の周りでは増えてきました。新しい事業を作っていないと耐えられない創業者に新規事業の創出を任せ、経営は後続の社長を中心とした経営陣を構築して進めるのです。メリットは、それぞれの強みを活かせることです。創業者タイプの人は能力が高いように見えますが、経営など緻密に課題へと向き合うと相性が悪く、全然力が発揮されないことがあるのです。デメリットは経営方針の意思決定が創業者のスピードには敵わないことだと一般的には言われています。
おわりに
一言に起業家といってもキャリアとしては創業者タイプと経営者タイプがあります。これらがわかるのは、意外と進めてみてからだったりするのです。
私が創業したキカガクでは、私が創業から4年社長を務めた後、5年目からは現在の社長に後任をお願いしました。私自身が、経営というよりも、常に新しい事業を創出し続ける創業者として行動し続けたいという願いを聞き入れていただいた上での判断でした。
事業を創出する力に不安があるが、緻密に戦略を練っていくことに自信がある方は、次の経営者を探している創業者タイプの起業家に出会えると面白い反応が起きるはずです。
著者